テンプル・ボールズは2009年にフィンランドのオウルで、イリ(ギター)、サンテリ(ギター)、イミ(ベース)、アンッティ(ドラム)らによって、平均年齢14歳のバンドとしてスタートしている。放課後に集まってロックのカヴァーをプレイしながら、オリジナルも作るようになった彼らは、演奏技術がアップするにつれ、音楽性もハード・ロックにシフト。一時はクラッシュダイエットに影響を受けて、髪を逆立てて、メイクを施したグラム風のファッションでポップ・メタル系の音楽をプレイしていたこともあったという。
そんな彼らが2011年にフィンランドのバンド・コンテストに出場した時、GUILD OF PASSIONというバンドと出会うこととなる。その後も両バンドは対バンなどを通じて親交を深めると、2013年にテンプル・ボールズのヴォーカルが脱退した際、GUILD OF PASSIONのヴォーカルだったアルデが加入。スター性に溢れたルックスと圧倒的な歌唱力の持ち主であるアルデを迎えたバンドは一気にパワー・アップを図り、オリジナル曲が揃ったところで、アルバム制作に乗り出すことを決める。2016年5月にプロデューサーのトビアス・リンデル(ヨーロッパ、H.E.A.T他)がタイに所有する『Karma Sound Studio』に向かったバンドは約2週間のレコーディングを実施。完成したアルバム『トレーディッド・ドリームス』は2017年2月(日本盤は12月)にリリースされている。
80年代のフィールのある躍動感に溢れたハードなロックン・ロール・ナンバーは収録したこの作品はキャッチーなヴォーカル・メロディも魅力になっており、新人とは思えないスケールの大きさも話題になったものだった。バンドはアルバム・リリース後、サンテリが脱退したため、かつてアルデとGUILD OF PASSIONで一緒にプレイしていたニコ(ギター)を迎えると、日本盤発売に先駆けて、2017年11月10日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行なわれた“LOUD & METAL MANIA 2017”に出演し、熱いパフォーマンスを披露。2018年には東ヨーロッパでのツアーや夏のフェスティヴァルへの出演を果たした後、次作の制作に乗り出したバンドは、11月にシングルの「キル・ザ・ヴォイス」を発表。そして2019年、2ndアルバムの『アンテイムド』を発表している。
プロデューサーにH.E.A.Tのヨナ・ティー、エンジニアにソナタ・アークティカのパシ・カウッピネンを迎えて制作されたこの『アンテイムド』は、前作同様にロックン・ロールをベースにした活きのいいハード・ロック・チューンが並んでおり、グルーヴが心地よい演奏とキャッチーなヴォーカル・メロディが実に印象的。分厚いヴォーカル・ハーモニー、ビッグなドラム・サウンドなど、サウンド面でもパワー・アップを図っており、メロディ、アレンジなど、すべてにおいて圧倒的なクオリティを誇っている。アルデの存在感抜群のヴォーカルなど、バンドの魅力を満載した作品を通じて、テンプル・ボールズがさらに大きな飛躍を遂げることは間違いないだろう。