マーティ・フリードマンは1962年、アメリカのワシントンDC郊外の出身。父親の仕事の都合で西ドイツなどを転々とする中、14歳の時にクラスメイトと行ったKISSのコンサートに衝撃を受け、ギターを始める。10代後半、4年間ハワイのホノルルに住んでいた彼は、ラジオから流れる演歌を聴き、エモーショナルな歌声、メロディに大いに感化される。そしてギターで演歌の“こぶし”をコピーし、演奏に取り入れることによってオリジナリティを身につけた。1982年よりバンド活動を開始した彼は、1987年にカコフォニーを結成。2枚のアルバムと1枚のソロ・アルバムをリリースした後、1990年にメガデスに加入。『ラスト・イン・ピース』から『リスク』まで5枚のアルバム参加し、バンドの全盛期を支えた。これはメガデスの攻撃的かつ知的な音楽性に、マーティ独特のメロディアスなギターがもたらした結果であった。2004年からは日本に移住し、マルチに活躍している。
2017年には、3年ぶり通算13作目のソロ・アルバム『ウォール・オブ・サウンド』をリリース。マーティのセルフ・プロデュースにより制作されたアルバムである。傑作と評価の高かった前作『インフェルノ』の制作途中から、「もうこれ以上のアルバムは作れないだろう」と感じていたという。前作で「やりきった」彼であったが、「何もないところから曲を書き始めたら、アイデアがどんどん湧いてきた。前作の制作での苦労で創造力が鍛えられたんだ」と語っている。