このDIRKSCHNEIDERは自身のバンドであるU.D.O.を率いているウド・ダークシュナイダーによる別プロジェクトだ。2015年8月、世界最大のヘヴィ・メタル・フェスティヴァル『WACKEN OPEN AIR』のステージにて、U.D.O.とオーケストラの共演によるライヴを行なったウドは、ファンを驚かせる宣言をした。「ウド・ダークシュナイダーがアクセプトの曲を演奏するのは、2016年から始まるスペシャル・ツアーをもって最後とする」と。
ウドがこのような決断をした背景には、再結成したアクセプトとU.D.O.との比較論を第三者から聞かされることに疲れたということがあった。ファンやメディアは「アクセプトはこの曲をやっている、U.D.O.はやっていない、U.D.O.はあの曲をやっている、この曲をやるべきだ」といったようなことを指摘しがちだが、ウドとしては「アクセプトが再結成して活動を続けている以上、過去のアクセプトの曲は彼らに任せればいい、U.D.O.のスタジオ・アルバムは既に15枚もあるのだからU.D.O.のライヴはU.D.O.の曲だけで構成出来る」という結論に至ったのだった。たとえ一時的とはいえ、U.D.O.としてアクセプトの曲だけを演奏するツアーを行なうことには疑問符が付くことから、そのプロジェクトについてはDIRKSCHNEIDERという名義で活動を行なうことも決めた。
DIRKSCHNEIDERのラインナップは、ウド以下、アンドレイ・スミノルフ(ギター)、カスペリ・ヘイッキネン(ギター)、フィッティ・ヴィーンホルト、そしてウドの息子であるスヴェン・ダークシュナイダー(ドラムス)という5人。2016年当時のU.D.O.のラインナップが顔を並べていた。なお、2017年の2月にカスペリは自身の音楽キャリアを追求するためバンドから脱退、後任としてブラジル出身のビル・ハドソンが加わっている。
DIRKSCHNEIDERによるツアー『BACK TO THE ROOTS』は2016年の2月18日オランダのドラメン公演を初日とする欧州巡業からスタート、同年5月には来日も実現して東京、名古屋、大阪で計3回のショウを行なっている。その後はヨーロッパに戻って各地のフェスティヴァルに出演した他、東ヨーロッパやロシアにまで足を伸ばした。このツアーは各地で評判を呼び、世界各地のプロモーターから公演の要望が殺到したことで予定外の長期巡業となった。2016年10月には、同年4月のドイツ・メミンゲンにて録音された音声を素材とする2枚組ライヴ・アルバム「LIVE - BACK TO THE ROOTS」をDIRKSCHNEIDER名義でリリースした。
ツアーはもとよりライヴ・アルバムも好評を博したのだが、彼らはその勢いを駆ってDIRKSCHNEIDERのライヴ作品第2弾の制作を決断。2016年12月9日にチェコのブルノ公演にて撮影と録音を行ない、2017年に『ライヴ・イン・チェコ 2016 ~バック・トゥ・ザ・ルーツ - アクセプテッド!』をリリースした。