プリスティンは2006年、北極圏内のノルウェー・トロムス県の都市トロムソにて結成された。元々はポップ・バンドとしてのスタートだったが、紅一点の女性シンガー、ハイディ・ソルハイムが70年代スタイルのブルーズ・ロックやハード・ロックにかねてより深く傾倒していたため音楽面での軌道修正を図ることになり、2010年から2011年にかけて現在のスタイルへと辿り着いた。ちなみにハイディはプロデューサーやシンガー・ソングライターとしてのキャリアもあり、2012年にはソロ・アルバム「FOUND」を発表している他、子供向けの音楽を演奏するバンド、DINOSAUSでも活動を行なうなど多彩な音楽的才能を発揮している。
プリスティンとしては2011年にファースト・アルバム『DETOXING』を"Blues News Records"よりリリース。ジャニス・ジョプリンやアレサ・フランクリンを彷彿とさせる、力強くも妖艶なヴォーカルを中心に据えた本格派のブルーズ・ハード・ロックを聴かせるこのアルバムは、この手の音楽を好むマニア層の間で話題を呼んだ。2013年には彼ら自身のレーベル"Pristine Music Production"よりセカンド・アルバム『NO REGRET』を、2016年には同じく"Pristine Music Production"よりサード・アルバム『REBOOT』をリリースしている。『REBOOT』を発表した頃には、彼らの名前は北欧やヨーロッパ大陸はもとより、海を隔てたアメリカの熱心な音楽ファンの間にも浸透していた。その『REBOOT』発表に伴い、彼らはスウェーデン/アメリカ/フランスの多国籍バンドであり、音楽面でも共通点の多いBLUES PILLSのサポート・アクトとしてのツアーに出発、ヨーロッパ大陸を巡演した。その機会をきっかけとして、彼らは世界最大のヘヴィ・メタル・レーベルの1つである"Nuclear Blast"と契約を結び、通算4枚目のアルバム制作に取り掛かった。
2017年、彼らは日本デビュー作となるアルバム『NINJA』を完成させた。タイトルの『NINJA』とは奇しくも日本の忍者から採られているが、曲としてはラブ・ソングであり、「掛け替えのない人物を見つけ出すにはninja-skillを研ぎ澄ませなければならない」といったことが歌われている。
レンジの広い歌声で歌われるソウルフルでパワフルなヴォーカル、ブルーズ・ロックならではの土着性と洒脱さを兼ね備えたギター、ダイナミックにもシンプルにも展開するタイトでソリッドなリズム・セクションで構成されるプリスティンの本格的なハード・ロック・サウンドはここ日本の音楽愛好家を魅了すること確実だろう。なお、バンド名のPRISTINEとは「昔ながらの」「原始的な」といった意味合いを持つ形容詞であり、「不変の」「完全無欠な」「純粋な」「損なわれていない」というニュアンスも含んでいる。彼らの真っ正直で混じりけのない音楽スタイルを描写するためにはまさにうってつけの呼び名だと言えるだろう。