メロディアス・ハード・ロックやメロディック・メタル・プロジェクト作品を数多くリリースしているイタリアの“Frontiers”レコードが送り出したザ・フェリーメン。プロジェクトの中心人物で全曲の作詞・作曲を行なっているスウェーデン人のマグナス・カールソンは、ピート・サンドベリ(vo)率いるミッドナイト・サンのギタリストとしてアルバム『ネメシス』(1999年)で本格的にデビューを果たすと、自己のバンドのラスト・トライブを率いて3枚のアルバムをリリースし、日本でもその存在が知れ渡るようになる。その後、“Frontiers”の作品を中心にアレン/ランデ、プラス・ヴァンドームなど、ギタリスト/コンポーザーとして数々のプロジェクトに参加している彼は、現在はジャーマン・メタル・バンドのプライマル・フィアに名を連ねる一方で、自己のバンドのマグナス・カールソンズ・フリー・フォールでも2枚のアルバムをリリースしている。
2016年に短期間だけ復活したリッチー・ブラックモアズ・レインボーのシンガーに抜擢されたことで、一躍有名になったロニー・ロメロ。チリで生まれ育った彼は2008年にスペインに移住し、本格的に音楽活動を開始する。いくつかのバンドを経て、テクニカル・ギタリストのトニー・ヘルナンドと意気投合し、ローズ・オブ・ブラックを結成。これまで『ローズ・オブ・ブラック』(2014年)と『ローズ・オブ・ブラック II』(2016年)の2枚のアルバムをリリースしており、“LOUD PARK 16”で初来日公演も実現させている。
ニューヨーク生まれのマイク・テラーナは1987年にLAに移住し、トニー・マカパインやイングヴェイ・マルムスティーンらのバンドでプレイした後、1997年にオランダに移住。その後、すぐにドイツを拠点に移した彼はレイジ(2006年に脱退)やドイツ人ギタリストのアクセル・ルディ・ペルのメンバーとして活動する他、数多くの作品やツアーでプレイしている。
以上のような実力者が集まって結成されたザ・フェリーメンはヨーロッパのバンドらしい叙情性や様式美のフィールを取り入れたメロディックなヘヴィ・メタルが展開されており、曲によってはモダンな重厚感やパワー・メタル的な激しさを備えているのも特徴だ。ロニーの粘りのある歌唱、マグナスのテクニカルでメロディアスなギター・ソロ、マイクの技巧派ドラミングなど、各メンバーの歌やプレイも聴き応え十分で、3人の豊かな才能が見事に融合している。