1980年にクリス・ボルテンダール(vo)らによってドイツのノルトライン=ヴェストファーレンで結成されたグレイヴ・ディガー。デビュー作の『ヘヴィ・メタル・ブレイクダウン』(1984年)で、NWOBHMを影響源にしたようなパワー・メタルを展開して注目を集めた彼らだが、3枚のアルバムをリリースした後、グレイヴ・ディガー(墓堀人)というバンド名では売れないと判断したレコード会社の意向により、ディガーと改名。新たにキャッチーな要素を取り入れた4作目の『ストロンガー・ザン・エヴァー』(1986年)をリリースしたものの、ファン離れを引き起こす原因となり、バンドは1987年に解散してしまう。
しかし、その4年後、クリスは新たなメンバーを迎えて、グレイヴ・ディガーを再結成させ、5作目の『ザ・リーパー』(1993年)をリリース。アグレッシヴなパワー・メタルで復活を果たすと、7作目の『チューンズ・オブ・ウォー』(1996年)からコンセプト・スタイルのアルバムを制作するようになり、8作目の『ナイツ・オブ・ザ・クロス』(1998年)からキーボーディストのハンス・ピーター・カッツェンバーグ(key)を迎えて、神秘性も加えたスタイルも披露する。その後、元レイジのマンニ・シュミット(g)を迎えてツイン・ギター体制となってリリースした唯一のアルバム『バラード・オブ・ア・ハングマン』(2009年)、結成30周年アルバムとなった『クランズ・ウィル・ライズ・アゲイン』(2010年)など、1〜2年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けている彼らが、結成35周年を記念して、初期の楽曲をリレコーディングしたアルバム『EXHUMATION - THE EARLY YEARS』(2015年)に続いて制作したのが『ヒールド・バイ・メタル』(2017)である。
再結成以来、ヨーロッパを中心に精力的にライヴ活動を実施し、2016年にはブラインド・ガーディアンのサポートとして北米ツアーを実施したグレイヴ・ディガー。
クリスのパワフルな歌声、アクセル・リット(g)の切れ味鋭いギター・リフ、イェンス・ベッカー(b)とステファン・アーノルド(ds)のタイトなリズムを武器にした男気溢れる作風はこれぞグレイヴ・ディガーと呼べるもので、思わず拳を突き上げたくなるメタル魂満載だ。