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テスタメントは1983年にカリフォルニア州サンフランシスコ近郊のバークレーにて結成された。当初はLEGACYと名乗っていたが、1986年にニューヨークの“Megaforce Records”と契約した前後に、同名異バンドがいたためテスタメントに改名した。命名者はS.O.D.やM.O.D.での活動で知られるビリー・ミラノだった。1987年に彼らはアルバム『THE LEGACY』でデビュー。ベイエリア・スラッシュ・メタルらしいザクザクとした質感と欧州ヘヴィ・メタルをルーツとする暗さや叙情性の融合がなされたそのサウンドは高く評価され、METALLICA、ANTHRAX、MEGADETH、SLAYERといったスラッシュ・メタルの第一世代に続く注目株として人気は高まった。その後、『THE NEW ORDER』(1988年)、『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(1989年)、『SOULS OF BLACK』(1990年)、『THE RITUAL』(1992年)といったアルバムを続々と発表、日本でも人気は高まり、1990年に初の日本ツアーを行なっている。
しかしながら『THE RITUAL』を最後にその技巧とメロディ・センスが高く評価されバンド・サウンドの看板の1つだったアレックス・スコルニック(ギター)が脱退、その後は様々なリード・ギタリストとドラマーを起用しながら活動を続け、『LOW』(1994年)、『DEMONIC』(1997年)、『THE GATHERING』(1999年)といったアルバムをリリースしていった。
そして2001年。バンドからの脱退後、ジャズ・シーンで活動していたアレックスがゲスト参加した再録音企画アルバム『FIRST STRIKE STILL DEADLY』をリリース。これを機にアレックスの正式復帰が決まった。その後しばらくライヴ・ツアーを中心とする活動を行なっていたが、ヨーロッパ最大手のニュークリア・ブラスト・レコーズと契約後、2008年に久々のスタジオ録音によるオリジナル・アルバム『THE FORMATION OF DAMNATION』を発表、ルーツを保持しつつアップデートさせたそのサウンドは高く評価された。2012年には元DARK ANGEL〜DEATH他のジーン・ホグランとLAMB OF GODのクリス・アドラーという2人のドラマーを起用したアルバム『DARK ROOTS OF EARTH』をリリース、更に緻密かつ攻撃的になったその仕上がりも絶賛された。このアルバムに伴うツアー中にオリジナル・ベース奏者のグレッグ・クリスチャンが離脱、バンドは90年代後半から2000年代半ばのグレッグ不在時に在籍していたスティーヴ・ディジョルジョ(SADUS、DEATH他)を再加入させてツアーを続行した。
『DARK ROOTS OF EARTH』から4年。チャック・ビリー(ヴォーカル)、エリック・ピーターソン(ギター)、アレックス、スティーヴ、ジーンという編成のテスタメントは2016年『ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク』を完成させた。そして再び4年、2020年にはアルバム『タイタンズ・オブ・クリエイション』をリリースしている。