メロディック・デス・メタル、プログレッシヴ・メタル、ヴァイキング・メタルなどなど、際限なくサブジャンルを生み出してきたエクストリーム・メタル界であるが、90年代以降、そのいずれでもトップを走るバンドを輩出し続けているのがスウェーデンなのだ。もちろんそれは、ブラック・メタルにおいても例外ではない。
ブラック・メタルというとスウェーデンよりも、同じ北欧のノルウェーを中心としたムーヴメントであったという感もあるが、実はブラック・メタルの誕生、発展への貢献度については、スウェーデンはノルウェーに勝るとも劣らないのだ。何しろ90年代以降のブラック・メタル・バンドの直接的なルーツはスウェーデンのバソリーであるし、コープス・ペイントを施し、ステージで自らの体をナイフで切り刻むという、ブラック・メタルの恐るべきイメージを作り上げた張本人、ノルウェーのメイヘムのヴォーカリスト、故デッドも出身はスウェーデンなのだ。さらにはノルウェーにおけるブラック・メタルのムーヴメントが、スウェディッシュ・デス・メタルの商業的成功に対する一種の嫉妬から生まれたという側面も考えると、スウェーデンのシーン抜きでは現在のブラック・メタルの隆盛はあり得なかったと言っても過言ではない。
そんなスウェーデンのブラック・メタル・シーンを創世期から支えてきたヴェテラン、ダーク・フューネラル。2016年6月6年ぶりのアルバム『ホエア・シャドウズ・フォーエヴァー・レイン』をリリース。
ドミネーターによる凄まじいまでのブラスト・ビート、ロード・アーリマンによる邪悪なリフ、新加入のヘルヤルマドルによる咆哮、そしてそこに彼らが「北に棲む者たちが感じるメランコリー」と形容する、そこはかとなく悲哀を感じさせるメロディが絡みつく様は、強烈なブリザードを思い起こさせる。