ポール・アレンダーはイギリス・エセックス出身のギタリスト。1992年から1995年にかけて、そして2000年から今年2014年にかけてイギリスを代表するブラック・メタル・バンド、クレイドル・オブ・フィルスに在籍していた。彼はクレイドル・オブ・フィルスでは8枚のアルバムに参加、その鋭角的なギター・リフと華麗なメロディさばきによってクレイドル・オブ・フィルスのサウンドに多大な貢献を果たしてきた。
ポールは、2014年クレイドル・オブ・フィルスから脱退。かねてより活動開始に向けて2年前から曲作りを進めていた新しいバンド、ホワイト・エンプレスでの活動に専念するためだ。ポールはホワイト・エンプレスの活動本格化を見越して、イギリスを離れてアメリカに移住した。
ポールのもとに集っているのはホワイト・エンプレスというステージネームを持ち、アメリカのウィスコンシン州をベースに活動するメロディック・デスメタルバンド“ルナ・モーティス”でも異彩を放つ女性ヴォーカル、メアリー・ズィマー(ヴォーカル/ルナ・モーティスにも在籍)、再結成コール・チェンバーで華麗なビジュアルに似つかず重低音でタイトなリズムを刻んだ女性ベーシスト、シーラ・ハーパー(ベース/元コール・チェンバー)、さらにジェレミー・コーンマン(ギター)、ザック・モリス(ドラムス)、ウィル・グラニー(キーボード)という5人だった。
ホワイト・エンプレスが彼らのデビュー・フル・アルバム『ライズ・オブ・ジ・エンプレス』にて構築してみせたのは、メアリーによるオペラ・ヴォーカルからデス・メタル・グロウルまでを操る多様なヴォーカルをフィーチュアしたシンフォニック/エクストリーム・メタルだ。ポールによるシャープかつヘヴィなギター・スタイルは健在だが、プログレッシヴなキーボード・アレンジと対を成すアレンジはクレイドル・オブ・フィルス時代とは傾向の異なるドラマティックさを放っている。
2015年5月12日には「ロック・オブ・ケイオス vol.1」に出演、渋谷クラブクアトロで初来日公演を行った。