『メタル/ヘッドバンガーズ・ジャーニー』(2005)、『グローバル・メタル』(2008)という2大ドキュメンタリーで、世界のメタル・シーンを掘り下げてきたカナダ出身のサム。両作品は高く評価され、日本でも劇場公開された。さらに彼の率いる“バンガー・フィルムズ”はアイアン・メイデン『フライト666』(2009)、モーターヘッド『The World Is Ours Vol.1』ラッシュ『タイム・マシーン2011:ライヴ・イン・クリーヴランド』(共に2011)をプロデュースするなど、メタル映像界において確固たる足跡を残している。
『メタル・エヴォリューション』は2011年にアメリカのtv局『VH-1』で放映開始されたシリーズを元にした映像作品。全11エピソード、合計約8時間という大作に仕上がっている。『メタル/ヘッドバンガーズ・ジャーニー』『グローバル・メタル』撮影のために世界各地でロケを行い、数々のアーティストや関係者にインタビューを行ってきたサムだが、このシリーズの制作に際して、新たに20カ国・40都市でロケを敢行。約300人へのインタビューを行っている。
本シリーズの原案となったのは、『メタル/ヘッドバンガーズ・ジャーニー』中にあった、さまざまなメタル・ジャンルを分類したファミリー・ツリー図表。40年以上におよぶメタルの歴史とサブ・ジャンルを的確にチャート化したこの表は高く評価され、それを11ジャンルに再構成して映像化されることになった。
カナダ、アメリカからイギリス、ドイツ、イタリアなどにサムが自ら飛び、アイアン・メイデン、メタリカ、ブラック・サバス、ディープ・パープル、エアロスミス、キッス、ジューダス・プリースト、スラッシュ、ヴァン・ヘイレン、ラッシュ、メガデス、スリップノット、ホワイトスネイク、アリス・クーパー、ドリーム・シアター、スレイヤー、アンスラックス、イングヴェイ・マルムスティーン、サクソン、マノウォー、メルヴィンズ、リンプ・ビズキット、そして故ロニー・ジェイムズ・ディオら豪華アーティスト達がメタルの進化を語る、空前のスケールのドキュメンタリー。既に放映された各国ではセンセーションを呼び、続編を求める声が後を絶たない。サム自身も“エクストリーム・メタル編”の製作に意欲を見せているところだ。メタルの進化は、どこまでも続いていく。