カルト・オブ・ルナは1998年、スウェーデン北部の大都市ウメオにて結成。デビュー・アルバムのリリース時より英名門イヤーエイクとのディールを獲得しているという事実からも察することができるように、オルタネイティヴ・メタル/ハードコア、ことにアイシス以降のアトモスフェリック・スラッジに紐付けられる音楽性においては、ジ・オーシャン・コレクティヴと並びEU圏で最も成功を収めているバンドだ。クイックサンド、キャスト・アイアン・ハイクのような90sポスト・ハードコアやアンブロークン、チョークホールドといったニュースクール・ハードコア、エバリション・レコーズに象徴される激情ハードコアの拡散と深化から誕生したアイシスと同様、リフューズドのお膝元であるウメオで生まれたカルト・オブ・ルナもまた、90sハードコアが持ち合わせていた多様性からのフィードバックを多分に含んでいる。初期はウメオ・スタイル・ハードコアの伝説的存在であるセパレーションのメンバーを擁していたことや、ジェイコブ・バノン(コンヴァージ)主宰デスウィッシュ・インクからのリリースを持つストックホルムのアヴァンギャルド・スラッジ、スウィッチブレイドとのスプリット作品が初リリースであることからも、根の深さが伺える。
コラボレーターであるジュリー・クリスマスは、ポップと言っても過言ではないメロディとポスト・スラッジを融合させてみせたサウンドで、ニューロシス主宰ニューロット・レコーディングスのカタログにおいて異彩を放つバトル・オブ・マイス、メイド・アウト・オブ・ベイビーズの鬼才フロント・ガール。カルト・オブ・ルナとの邂逅が素晴らしい結果をもたらすであろうことが想像に難くない組み合わせだ。