前身バンドの時代をも含めれば、その歴史の幕開けは1966年にまで遡るハートだが、アンとナンシーの加入を経てバンドが『ドリームボート・アニー』と題されたアルバムでデビューに至ったのは1976年のこと。以降、数々のヒット・アルバムとシングルを世に送り出すとともに、“女性版ロバート・プラント”といった異名をとるアンの迫力あるヴォーカルを看板としながらライヴ・バンドとして名を馳せてきた。度重なるメンバー・チェンジなどを経て低迷期に陥ったこともあったが、1985年に発表した『ハート』が全米アルバム・チャートで首位に輝き、華麗にカムバックを果たしている。以降もコンスタントに活動を続けてきたが、年月を重ねていくにしたがって、“あくまでアンとナンシーを主体とするバンド”という成り立ちが色濃くなってきている。
このバンドを70年代や80年代の代表選手として片付けてしまうのは、まだまだ早過ぎる。2010年発表のアルバム『レッド・ヴェルヴェット・カー』は全米チャート10位を記録し、バンドにとって約20年ぶりのトップ10アルバムとなっており、続く『ファナティック』(2012年)も最高24位まで上昇。また、2012年にはハリウッドのウォーク・オブ・フェイムにアンとナンシーの名前が刻まれ、2013年にはRUSHやランディ・ニューマン、アルバート・キングらとともにロックの殿堂入りを果たしている。
2016年には、15thアルバム『ビューティフル・ブロークン』をリリースしている。