2008年にドイツのニュークリア・ブラストよりアルバム“コンクルージョン・オブ・アン・エイジ”でデビューを果たしたサイロシスは、イギリスはレディング出身のヘヴィ・メタル・バンドだ。当時、まだ高校生だったジョシュ・ミドルトン(ギター/ヴォーカル)は、80年代のスラッシュ・メタルや90年代初めのデス・メタルに入れ込んでおり、学校の友達と一緒に自分達の好きな曲をカヴァーすることから始めた。
やがてオリジナルを書くようになった彼らは、地元レディングはもとよりイギリス全土でのライヴも視野に入れて活動を展開、2006年には地元のインディペンデント・レーベル“イン・アット・ジ・ディープ・エンド・レコード”よりEP「キャスティング・シャドウズ」をリリースした。そして2007年には“ニュークリア・ブラスト”の方から彼らにアプローチ、両者の間で契約が交わされた。翌2008年には既に録音済みだったEP「ザ・スプリーム・オプレッサー」を最初のEPと同じく“イン・アット・ジ・ディープ・エンド・レコード”をリリースしている。
同年10月、彼らは“ニュークリア・ブラスト”より、日本を含むワールドワイドでのデビュー・アルバム『コンクルージョン・オブ・アン・エイジ』を発表した。伝統的なヘヴィ・メタル、スラッシュ/デス・メタルを融合させたそのサウンドは世界中のメタル・マニア達から高く評価されることになった。そのデビュー・アルバム発表後にはドラゴンフォース、ブラック・ダリア・マーダー、セファリック・カーネイジらの前座を務める形でのツアーに出発、その高度なライヴ・パフォーマンスも評判となった。
その後、彼らはセカンド・アルバム『エッジ・オブ・アース』(2011年)、サード・アルバム『モノリス」(2012年)といったアルバムをコンスタントにリリースしていくのだが、作品を発表する毎にそれぞれのメンバーが演奏技術を高めていき、より多彩な表現技法を身に付けるようになった。しかし、彼らがこだわるのはあくまでもノーマル・チューニングによるギター・オリエンテッドなヘヴィ/スラッシュ・メタルであり、時流になびくことが一切ないそのサウンド・スタイルは、まさしく現在進行形のブリティッシュ・ヘヴィ・メタルと呼ぶべきものだった。
2015年、彼らはフルとしては通算4枚目となるアルバム『ドーマント・ハート』リリースをもって再攻勢に打って出る。アグレッシヴなヴォーカルと硬質なバッキング、そして鮮やかなギター・ソロを前面に打ち出したその音楽が更なる高みに到達していることをはっきりと証明している。