マスタッシュは1998年にスウェーデンのヨーテボリにて、ラルフ・ギレンハマー(ヴォーカル/ギター)、スタム・ヨハンソン(ベース)らによって結成。2001年にEP『ザ・トゥルー・サウンド・オブ・ニュー・ウェスト』をリリース後、精力的なライヴ活動を経て、1stアルバムの『アバヴ・オール』(2002年)を発表、これがスウェーデン・チャート最高22位に入るヒットとなると、この作品はスウェーデンのグラミー賞にノミネートされ、バンドの名前はスウェーデン国内で広く知られるようになる。さらに2作目の『ラットサファリ』(2003年)も同賞にノミネートされた後、2005年にリリースした3作目の『パワーハウス』が本国のチャート最高10位にランク・イン。人気バンドの地位を確立する。
さらにEP『パラサイト!』(2006年)を挟んでリリースした4作目の『レイテスト・ヴァージョン・オブ・ザ・トゥルース』(2007年)はチャート最高3位に入るとともに、念願のスウェーデンのグラミーを受賞。名実ともにトップ・バンドの地位を築いた彼らは、その後もデヴィッド・ヨハネソン(ギター)がメンバーとなった5作目の『マスタッシュ』がチャート最高5位、初期の音源をリレコーディングした『ザ・ニュー・サウンド・オブ・ザ・ベスト』(2011年)が最高2位、6作目の『サウンズ・ライク・ヘル、ルックス・ライク・ヘヴン』(2012年)が最高4位、イェヨ・ペルコヴィッチ(ドラムス)を迎えて制作した7作目の『サンキューフォー・ザ・ディーモン』(2014年)が最高5位と、ヒット作を連発する。そして、シングル「ビー・ライク・ア・マン」に続いて、2015年約1年半ぶりに8枚目のアルバム『テストステロン』をリリース。
プロデューサーにリカルド・ロフグレン、ミックスをヤコブ・ハンセン(アマランス、ヴォルビート他)を起用し、男性ホルモンの代表的なものを示す「テストステロン」をタイトルにしたこの作品は、男臭さに溢れながらも北欧ならではの叙情的なムードが漂う楽曲が並ぶ。ハードなギター・リフとパワフルなリズム隊によって攻める曲もあれば、メランコリックな曲もあるなど、ヴァラエティに富んだ楽曲はどれもメロディックで、ラルフの深みのあるヴォーカルも聴き所の1つ。歌とグルーヴの両方を楽しめるのが、本国でもウケている要因であるが、そのメロディアスなスタイルはまさに日本人好みと呼べるだろう。