1968年、ピート・タウンゼントが出会ったインドの導師、ミーハ・ババからの強い影響を受けピートにより書き下ろされた『トミー』は当初スピリチュアルで荘厳な佇まいを見せる作品だったが、そこにある種下世話な「ピンボール」というテーマが取り込まれることにより、よりポップでエモーショナルなアルバムへと昇華していく。そんな紆余曲折を経ながらアルバムが完成に向かうさまはスリリングでかつ感動的である。そして、ザ・フーによる徹底したツアーにより、その人気と評価を確固たるものにしていく『トミー』は巨大化続け、75年にはケン・ラッセルの手により映画化。そして、92年にはブロードウェイでミュージカル版が上演、トニー賞を5部門受賞するなど、バンドを超えた作品へと発展しつづけていく…。