
世界有数のメタル大国として知られるフィンランドにおいて、ナイトウィッシュは絶大な支持を集めてきた。2000年以降に発表したオリジナル・アルバムが6作連続でナショナル・チャート1位を獲得。ベスト・アルバムやEPも1位に輝くなど、彼らは国民的メタル・バンドとして愛されている。
彼らはまたヨーロッパ大陸のシーンを制覇、アメリカでも『イマジナエラム』(2011)『エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』(2015)が連続して全米トップ40入り。日本でも熱狂的なファン層を持つなど、地球規模での人気を得ている。
2020年1月リリースのライヴ・アルバム/映像作品『ディケイズ:ライヴ・イン・ブエノスアイレス』もチャート1位に輝き、フローア・ヤンセン(ヴォーカル)が初のソロ・ツアー。マルコ・ヒエタラ (ベース、ヴォーカル)もソロ・アルバムとライヴを行うなど、世界のナイトウィッシュ熱がじわじわとヒートアップ、日本でも熱狂的なファン層を持つなど、地球規模での人気を得ている。
同年4月には、9thアルバム『ヒューマン・ネイチャー』をリリース。『エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』(2015)以来となる新作は、CD2枚組の超大作。CD1に9曲、CD2に8部構成の組曲1曲が収録される。当初はコンセプトなどを定めることなく曲作りに入ったという本作だが、自然な過程で“ヒューマン=人類”と“ネイチャー=自然”が2大テーマになっていった。バンドのメイン・コンポーザーであるツォーマス・ホロパイネン (キーボード)は本作を“偶発的コンセプト・アルバム”と描写している。
母国フィンランドはもちろん、スウェーデンやドイツなどヨーロッパ諸国で絶大な支持を誇り、北米・南米・アジア圏の市場にも進出。日本では2005年に初来日公演を行い、“ラウド・パーク16”フェスではセミ・ヘッドライナーとしてステージに立つなど、不動の人気を確立している。
2024年9月には4年ぶりのニュー・アルバム『Yesterwynde』をリリース。リーダーのツォーマス・ホロパイネン(Key)が、「これまでのどのアルバムよりも作るのに時間がかかった」と言うとおり、3年半かけて制作された本作。Wintersun、Crownshiftのベーシスト、ユッカ・コスキネン初参加となる今回もいつも通り、いや以前に輪をかけてシンフォニックでキャッチー、そしてヘヴィと、ファンならずともたまらない内容に仕上がっている。あのアビー・ロード・スタジオで録音されたというオーケストラ、クワイヤもあまりにゴージャス。フローア・ヤンセンの歌声の素晴らしさについては、改めて触れるまでもないだろう。一方で、ツォーマスが「楽曲はとっつきやすいもの。しかし、表面化には大量の興味深い特徴が潜んでいる。完全に消化するには何度も聴き返さなくてはならないアルバムだ」と言い切るだけあり、本作はわかりやすいと同時に、非常に深い作品にもなっている。まさにNightwishの本質がぎっしりと詰まったアルバムだ。