1983年に結成、エクストリームなメタル・サウンドと超速ブラスト・ビート、顔面白塗りコープス(死体)ペイントでブラック・メタルを決定づけたメイヘム。1994年に発表された『狂魔密儀』は現代のシーンに多大な影響を与えてきた。
音楽面もさながら、彼らは血塗られた歴史でも知られる。ヴォーカリストのデッドが散弾銃で自らの脳天を吹っ飛ばし、ギタリストのユーロニモスが刺殺されるなど(犯人は『狂魔密儀』でベースを弾いたカウント・グリシュナック)、さまざまな事件に彩られてきた。2003年にはステージ上から投げ込んだ羊の頭部が観客を直撃、頭蓋骨を骨折するという惨事も起こっている。
オリジナル・メンバーのネクロブッチャー(ベース)、1980年代以来ブラスト・ビートを叩きだしてきたヘルハマー(ドラムス)、SUNN O)))やヴォイド・オヴ・ヴォイシズでも日本を訪れたアッティラ・チハー(ヴォーカル)、そして新加入のテロック(ギター)という布陣によって作られた、7年ぶりとなるアルバム『エソテリック・ウォーフェア~密儀戦乱』を2014年にリリース。北欧ブラック・メタルの本流を現代に継承しながら、さらに世界観の幅を拡げた音楽性で、“21世紀のメイヘム”を提示している。
2008年5月、『Extreme The Dojo Vol.20 Special』で初来日ライヴを行っており、2010年9月に再来日。2014年1月には結成30周年ジャパン・ツアーも行われるなど、日本でも熱狂的に支持されている。
2023年9月にはライヴ・アルバム『Daemonic Rites』をリリース。19年のスタジオ・アルバム『Daemon』に伴うツアー模様を収録した本作では、前半は『Daemon』を中心に、ポスト・ユーロニモス期の楽曲が披露され、後半は初期の名曲で畳みかけていく。「悪魔の儀式」というアルバム・タイトル通り、ブラック・メタル界最強バンドによる、最恐のライヴ盤の登場である。