1970年代後半にイギリスを中心に大きなムーヴメントとなったNWOBHM。その音楽性やイメージは実にさまざまであったが、中にはBlack Sabbathのオカルティック、イーヴルなイメージを露骨に引き継いだバンドもいた。このDemonもその1つ。「悪霊」というストレートすぎるバンド名、そしてアートワーク等のイメージは非常に邪悪なものであった一方、その音楽性はどちらかと言えばキャッチーなものであり、そのギャップがこのバンドの最大の魅力であったとも言える。81年のデビュー・アルバム『Night of the Demon』、続く82年のセカンド『The Unexpected Guest』の2枚は、今なおNWOBHMの名盤として多くのヘヴィメタル・ファンに愛されている。その後、音楽性を変えつつ活動を続けてきたDemon。(90年代には一時期解散していたが。)
2024年には8年ぶりとなるニュー・アルバム『Invincible』をリリース。オリジナル・メンバーのヴォーカリスト、デイヴ・ヒルが「ホラー映画からインスピレーションを受けた」と明言するだけあり、本作には初期Demonの香りがたっぷり。ほのかに暗く、しかしキャッチー、そして少々プログレッシヴ。これぞDemonといった仕上がりだ。