23年8月、世界中の音楽ファンに惜しまれつつ、この世を去ったバーニー・マースデンは、他に類をみないほどの輝かしい経歴を持ったギタリストだ。コージー・パウエルやジョン・ロード、イアン・ペイスらとの活動を経た後、デヴィッド・カヴァーデイルらと共に、Whitesnakeを結成。後に世界的大ヒットとなった「Here I Go Again」は、ブルースをベースに持つバーニーの力が十二分に発揮された歴史的名曲である。Whitesnake脱退後は、ミッキー・ムーディとのThe Moody Marsden BandやThe Snakes等、数々のバンド、そしてソロ・ギタリストとして数多くの作品を残した。
2024年2月、バーニーの遺作となるアルバム『Working Man』がリリース。12曲入りのオリジナル・アルバムに、Whitesnake時代の名曲のリレコーディングを含む10曲入りボーナス・ディスクが付属する、2枚組の大ボリューム。当然中身はブルース色の強い、バーニーならではの名曲揃い。前述の「Here I Go Again」は、1987年バージョンとは真逆のシンプルなアレンジメントで再録されており、曲自体の素晴らしさが際立つ仕上がりとなっている。レコーディングは23年の6月に行われたという、まさに稀代のギタリストの最後のドキュメント。涙なしには聴けない傑作である。