カリフォルニアのカルト・メタル・バンド、Ruthless。その結成は82年にまでさかのぼる。シングルとEPをリリースした後、86年に『Discipline of Steel』でアルバム・デビュー。Judas PriestやAcceptといったバンドから影響を受けつつ、オカルティックな雰囲気を湛えた本作は、マニアの間ではカルト的人気を誇ってきた。その後、セカンド・アルバムの制作に取り掛かっていた彼らだが、残念ながら88年に解散。Ruthlessは表舞台から姿を消した。
だが08年、バンドは突如復活。15年には29年ぶりとなるセカンド・アルバム『They Rise』をリリース。80年代と何一つ変わりのないピュア・ヘヴィメタルを聴かせ、マニアをうならせた。さらに19年にはサード・アルバム『Evil Within』を発表。そして2024年1月、新たにFireflash Recordsとの契約を果たした彼らは、5年ぶりのアルバムをリリースする。
『The Fallen』と題された本作。長年バンドの顔を務めてきたヴォーカリスト、サミー・デジョンが「初期の頃を思わせる、Ruthlessのすべてが詰まった作品」と、豪語する通りのアルバムに仕上がっている。とにかくヘヴィでパワフル。そして、そこはかとない邪悪な雰囲気。まるで80年代からタイムスリップしてきたかのような、ピュアなヘヴィメタルは、まさに奇跡。Judas Priest等のトラディショナル・ヘヴィメタル、あるいはMetal ChurchのようなUSパワー・メタル好きならば必聴。