商品説明 DETAIL ネクロフェイジアはある意味伝説的なバンドだ。まず、デス・メタルという音楽のパイオニアの1つであるという点において。そして、あのフィル・アンセルモが参加していたという点において。83年、ホラー映画マニアのヴォーカリスト、キルジョイによって結成されたネクロフェイジア。84年~86年にかけて多数のデモやリハーサル・テープを発表。ヴォーカル・スタイルは現在でいうグロウルに近く、これらの作品はごく初期のデス・メタル作品としてカルト視されているのだ。87年には『Season of the Dead』でアルバム・デビュー。あのニュー・ルネッサンス・レコードから発表された本作は、妙にドラマチックなリフをバックに、キルジョイが淡々とホラーストーリーを語りかけてくるという他に類を見ない傑作であり、今なお多くのファンを魅了し続けているクラシックである。しかし、結局アルバムがリリースされた87年にバンドは解散してしまう。 そんなネクロフェイジアの電撃的復活劇の立役者となったのが、あのフィル・アンセルモである。フィルはもともとアンダーグラウンドなエクストリーム・メタル・マニアであり、またキルジョイ、フィルはともにボクシング・ファンであったこともあり、急速に仲を深めた二人はバンドの復活を画策。98年にはフィルをギターに迎えたアルバム『Holocausto de la Morte』がリリースされ、大きな話題となった。それはそうだろう、パンテラのフロントマンがカルト・デス・メタル・バンドに参加したわけだから、話題にならないはずがない。さらに99年には『Through Eyes of the Dead』というホラー映画さながらの映像作品もリリース。間髪入れず『Black Blood Vomitorium』(00年)、『Cannibal Holocaust』(01年)という2枚のEPを発表するが、フィル・アンセルモとキルジョイという、あまりに強烈なキャラクターを持った2人の蜜月関係は、当然というべきか、長くは続かなかった。その後フィルはフェイドアウトする形でバンドから脱退してしまう。 ちなみに『Season of the Dead』と『Holocausto de la Morte』の音楽性は相当異なる。というのも、キルジョイ自身は一切曲を書かない(書けない)ため、常に曲作りはギタリスト任せ。ギタリストが変わればバンドの音楽性がそのままガラっと変わってしまうのが、ネクロフェイジアのスタイルなのだ。フィル脱退後もネクロフェイジアは活動を続けていく。さまざまなミュージシャンが加入しては去っていった。そしてそのたびにネクロフェイジアの音楽性は、多かれ少なかれ変わっていった。そんな彼らに予想外の結末が訪れる。18年3月、キルジョイが急逝。心臓発作だった。いくら曲作りはしていないとは言え、バンドの顔であり、そのコンセプトを握っていたのはキルジョイだ。彼の死は、そのままバンドの死を意味していた。 ネクロフェイジアの歴史を俯瞰するのに最適なのが、このたびリリースになるベスト盤『ヒア・ライズ・ネクロフェイジア:35イヤーズ・オブ・デス・メタル』である。デビュー・アルバムから、フィル在籍期、そして期せずして最後のアルバムとなってしまった14年の『WhiteWorm Cathedral』に至るその長い活動の中から、バンドを代表する楽曲が満遍なく収められた本作。選曲に携わったのは元メイヘムのマニアック、リパルションのスコット・カールソン、エグジュームドのマット・ハーヴェイら。いずれもネクロフェイジアから大きなインスピレーショを受けた名うてのミュージシャンたちである。時期によって大きく音楽性を変化させていったネクロフェイジアであるが、そこに統一性を持たせているのがキルジョイのヴォーカル、そしてホラー映画というコンセプトだ。歌詞、アートワーク、サンプリング、その他あらゆる点においてホラーにこだわり続けたキルジョイ。ここまでホラーというテーマにこだわったエクストリーム・メタル・バンドは、このネクロフェイジアが最初だろう。商業的な成功とは無縁であったが、多くのミュージシャンからリスペクトされていたキルジョイは、まさにアンダーグラウンドの帝王の名がふさわしい。ぜひ、これを機会にネクロフェイジアというバンドに触れてみてほしい。 【メンバー】 キルジョイ(ヴォーカル) アントン・クロウリー[フィル・アンセルモ](ギター) スクリム(ギター) アビゲイル・リー・ネロ(ギター) フレディアブロ(ギター) ボリス・ランドール(ギター) ラリー・マディソン(ギター) フグ(ギター) ジャレッド・フォルク(ベース) ダミアン・マシューズ(ベース) ビル・ジェイムズ(ベース) ダスティン・ハヴネン(ベース) イスカリア(ベース) ショーン・スルサレク(ドラムス) ティッタ(ドラムス) ジョー・ブレイザー(ドラムス) ウェイン “ドゥービー” ファブラ(ドラムス) オパル・エンスローンド(キーボード) 川嶋未来(シンセ/オルガン/ホーンティング)