商品説明 DETAIL 中国出身のエクストリーム・メタル・バンドというと、昨今ゴースト・バスが話題になったのも記憶に新しい。蓋を開けてみれば、中国出身だというのはネタであった訳なのだが。しかし、それがギミックになりうるということは、中国のエクストリーム・メタルというものが、特に西欧のメタル・ファンにとって、エキゾティックな興味を引く対象であるという証拠。もちろん中国にもエクストリーム・メタル・シーンは存在するし、欧米に負けないクオリティを誇るバンドも少なくない。だが、インターネット全盛となった現在でも、中国のシーンは、まだまだ謎に包まれている。そんな状況下、世界的に大きな注目を浴びているのが、このテンガー・カヴァルリーである。 テンガー・カヴァルリーは現在ニューヨーク在住。しかしゴースト・バスと異なり、彼らは正真正銘、北京を出発点としている。10年に結成後、毎年アルバムを1枚、ときには複数枚リリースする多作ぶり。13年にニューヨークへ居を移してからはツアーも精力的にこなし、その特異な音楽性で、CNNやニューヨーク・タイムズにも取り上げられるなど、大きな注目を浴びている。そして今回、オーストリアの大手レーベル、Napalm Recordsとの契約。6枚目となるアルバム『鮮卑』がリリースされる。 先ほども書いたとおり、テンガー・カヴァルリーの音楽は特異である。リーダーであるネイチャーの出身は北京であるが、その音楽的バックグラウンドは明らかにモンゴル。「北京出身なのにモンゴル?」と思われる方もいるだろう。だが、現在の北京という都市は、もともとモンゴル帝国の首都だったのだから、何も不思議なことはないのだ!モリンホール(いわゆる馬頭琴)に口琴といった楽器、ホーミーと呼ばれる倍音唱法。普段メタルの世界ではなかなかお目にかかることのない要素が、ふんだんに取り込まれている。メタルとモンゴルの民族音楽。一見水と油のような2つの音楽が、実に見事に融合されて....いないのである!いるわけがない。こんなめちゃくちゃな組み合わせ、きれいに混ざり合うわけがないではないか!SlipknotやKornを思わせるヘヴィなパートが出てきたかと思うと、突然民族楽器が飛び出す。スムーズな流れも洗練もない。そんなもの、テンガー・カヴァルリーには必要ないのだ。半端ない違和感こそ、彼らの武器なのだから! オルティンドーなどのモンゴルの民謡は、日本の民謡に非常に近い部分があるため、テンガー・カヴァルリーの奏でるフレーズは、私たち日本人の耳には非常に馴染みが良い。しかし、それでも彼らの作りだす音楽の違和感、むちゃくちゃ感は相当のもの。これを西洋音楽にしか馴染みのない欧米のメタル・ファンが聴いたら、どれほどのインパクトを感じるのだろう?メタル+モンゴルの民族音楽だけでも相当なのに、途中テクノっぽい打ち込みドラムまで飛び出すのだから、そのモンド感は狂気レベル。現在、音楽の世界でもあらゆる可能性が試され、何もかもがやりつくされた感がある。残念ながら、「何なんだこれは!」と引っくり返ってしまうような作品には、そうそう巡り合えない。だが、テンガー・カヴァルリーは、久々の「何なんだこれは!」だ。洗練なんてクソ喰らえ。違和感こそがテンガー・カヴァルリーの魅力。耳あたりの良い音楽が幅を利かせる昨今、リスナーに大きな違和感を与えてくるというのは、その音楽がパワーを持っている証だ。21世紀版蒙古襲来とでも言うべき原始的衝動あふれる彼らのスタイルこそ、メタルが本来あるべき姿を体現しているのだ。 日本盤には日本限定のライヴ・トラック2曲収録予定。川嶋未来(SIGH)による解説書と歌詞対訳が付属。 【メンバー】 ネイチャー・ガンガンベイガル(ヴォーカル/ギター) アレックス・アバエフ(ベース) ザキ・アリ(ドラムス) ボルジギン・チニーレッグ(喉歌/トプショール) ウルジュムレン・デ(モリンホール) フィリップ・ニュートン(ギター)