英国プログレッシヴ・ロックの至宝マリリオン。プログレッシヴ・ロック衰退期ともいわれる1979年に、フィッシュ(ヴォーカル)、スティーヴ・ロザリー(ギター)、ディズ・ミニット(ベース)、ミック・ポインター(ドラムス)、ブライアン・ジェリマン(キーボード)をメンバーとして誕生し、ベースがピート・トレワヴァス、キーボードがマーク・ケリーに交代しながら1982年にレコード・デビュー。1983年に『独り芝居の道化師 Script For A Jester's Tear』でネオ・プログレッシヴ(=ポンプ・ロック)旋風を巻き起こしたマリリオンは、1985年にリリースした3枚目のアルバム『過ち色の記憶』が全英アルバムチャートで1位を獲得。本作からのシングル「追憶のケイリー」は全英チャート2位、「ラヴェンダー」は5位にランクインした。
1989年にカリスマ・ヴォーカリストのフィッシュが脱退するも、新たに加入したスティーヴ・ホガースの個性と曲作りの才能を得て『ブレイヴ』(1994)、『Marbles』(2004)、『FEAR』(2016)など名盤を生み出した。ベテラン・プログレ勢がポップ化への道をたどる中、ストーリー性の高いシアトリカルな構成美をもつプログレッシヴ・ロックの伝統と革新性を身につけ、本国イギリスのみならず幅広い人気を獲得している。
2017年・2018年には2年連続来日、ブリティッシュの憂いとドラマチックで深いコンセプトに彩られたステージで日本のファンを魅了した。
ポーキュパイン・トゥリーやアナセマ、パイナップル・シーフなど、21世紀におけるプログレッシヴ・ロックの台頭が目覚ましい昨今、ムーヴメントの先導者であるマリリオンの存在は大きくそびえ立つ金字塔だ。