商品説明 DETAIL ムーンループというバンド名にピンと来るエクストリーム・メタル・ファンはそう多くはないかもしれない。だがその音楽を知れば、誰しも彼らに興味を示さずにはいられなくなるはずだ。 5年ぶりの新作『ディヴォーション』をリリースするムーンループ。アコースティック・パートやキーボードの充実を図り、前作のプログレッシヴさをさらに発展させた、より有機的でパワフルな作品を目指したという本作は、再びファンの妄想をかきたてまくる内容だ。長尺で複雑な楽曲に不協和音、そして変拍子、と書くと非人間的なスタイルを想像し、身構えてしまう人もいるかもしれない。しかしムーンループの一番の根底にあるのは、やはり後期デス、シニック、エイシストといった90年代のバンドなのだろう。決して不必要にテクニカルになったり、複雑さを追求することだけが目的になったりはせず、あくまで良い楽曲を書くことが最優先とされている。ディープなデス・ヴォーカルの中にふと現れるクリーン・ヴォーカル・パートや、突然耳に飛び込んでくるアコースティック・パートの美しさに、ハッとせずにはいられない。コントラストのつけ方が、実に絶妙なのだ。 ムーンループはスペイン出身のプログレッシヴ・デス・メタル・バンド。結成は01年にまでさかのぼる。00年代には複数のデモやシングルCDRなどをリリースしているが、いずれも自主制作で配賦枚数も少なく、その活動は非常に限定されたものだった。 バンドがよりワールドワイドな活動を始めるきっかけとなったのが、フランスのListenable Recordsとの契約である。Listenable Recordsは、設立されたのが91年の老舗であり、今やフランスどころか世界を代表するプログレッシヴ・デス・メタル・バンドとなったGojiraを輩出している名門だ。このムーンループの音楽もカテゴライズするとすれば、Gojiraのそれと同じくプログレッシヴ・デス・メタルということになるだろう。「ムーンループ」という単語に聞き覚えがあるプログレ・ファンもいるかもしれないが、これはイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、ポーキュパイン・トゥリーによる、美しくもサイケデリックな同名の大曲からとられているのだ。「Moonloop」という言葉の持つ響きが、彼らがテーマとする「自然」とも合致するということで、これをバンド名として選んだとのこと。 そんなムーンループのスタイルは、当然のことながら一筋縄では行かないものだ。12年のデビュー・アルバム『Deeply from the Earth』は、世界中のメディアから驚きを持って迎えられた。チャック・シュルディナーが存命であったなら、こんなアルバムを作ったのではないか。ミカエル・オーカーフェルトがデス・メタルの要素を放棄しなければ、オーペスはこんな作品を発表していたのではないか。『Deeply from the Earth』は、プログレッシヴ・デス・メタル・ファンの様々な妄想をかきたてたのである。 ムーンループが受けた音楽的影響の範囲は実に幅広く、上に挙げたオーペスやデス、そしてシニック、エイシスト、ペスティレンスといったプログレッシヴ・デス・メタルの先人たちはもちろんのこと、テスタメントに初期メタリカ、デヴィン・タウンゼンドに加え、ザ・ビートルズやフランク・ザッパやジミ・ヘンドリックスといったクラシック・ロック、またジャズやフュージョン、さらにはスペインのバンドらしくフラメンコ音楽にまで及ぶというのだから、彼らの懐の深さは計り知れない。 ムーンループによる『ディヴォーション』は、間違いなく17年エクストリーム・メタル界のダークホース。多くのメタル・ファンを驚かせるに違いない。 【メンバー】 エリック・バウレナス(ヴォーカル/ギター) ファンホ・マーティン(ギター) ラウル・パイヤン(ドラムス) ヴィック・グラネル(ベース)